【ちょっと警鐘】ノロとユタ、神んちゅの違いについて話します。

沖縄の人が言う「ユタ」とは

ユタというのはイメージすると、霊媒師や死者の口寄せといった「ご先祖」をターゲットにした供養が本来の役割になります。
身内になんかしらの不幸が続いたとき、沖縄の人はそれを「知らせ」として受け取りユタの元を訪ねます。
そこでご先祖との媒介を行い、必要な供養(拝み)をしていくわけなのです。

この役割から、沖縄のユタに対するもうひとつの表現の仕方として「グソー盤(あの世担当)」と言ったりします。
また、ユタと似たような役割にある“ウガミサー(拝み屋)”があります。
ユタと区別して「ボーズ盤(祈祷担当)」と言ったりします。

ユタの仕事ぶりは、まず自身がお祀りしている神様や指導霊、守護霊に指示を仰ぎます。
黒線香という独特の線香をあげ、霊媒を始めていきます。
線香の数は依頼内容によって使い分けます。
(これをしないユタはちょっとね、と敬遠されたりもします)

ちょっとした家庭相談の場合は、1枚(毎日香6本分)。
大掛かりな先祖ごとになってくると36枚、或いはそれ以上という風に。
必要な時は、祈祷セット(ビンシー)やお供え物を持って関連拝所を依頼者と共に参拝します。
そこでも霊媒し神仏の指示を仰ぎます。
お解りのようにユタの立ち位置はあくまで「霊媒師」なのです。

また、ユタになるまでの過程として、かなり強烈な巫病を経験します。
(県内にはユタの修行場などもいくつかあり、そこから夜な夜なうめき声が聞こえたりすることも)
特に精神的な混乱を生じる節(統合失調症)にあり、周囲の理解がないとそのまま病院送りになることもあります。
拝所(ウガンジュ)で線香を持ってフラフラと歩く方と何度もお会いしました。

よろしければ、巫病について考察しているので合わせてお読みいただければ幸いです。
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沖縄の人が言う「ノロ」とは

一方ノロという仕事は、ちょうど神社を管理する神主さんをイメージして頂けるといいと思います。
巫女としての役割もあるので「女性司祭」と表現した方がいいのかもしれません。
琉球王朝時代の最高司祭は聞得大君と言いました。

神主さんは、自身の管轄する神社のみを対象として日夜神事を行うわけなんですけれど、沖縄のノロも管轄があり、琉球王朝からつづく形式にのっとって、自治体に遍く置かれている関連拝所・御嶽に行き、節目節目の神行事を執り行います。

ノロの末裔や継承者が途絶えた場合は、自治体職員が代理を務め、絶やすことなくきちんと年間行事として粛々と行っています。

私はスピリチュアルの仕事をしながら行政にも携わっていた時代がありました。
地域の正統なノロもおりましたし、自身の役割を超えずに向き合ってきました。
きちんと自治体からの依頼を受けて、1年の神行事が始まるタイミングで地域のノロや職員と共に、里の拝所や御嶽を参拝してきました。

正統なルーツを持つノロは、里のために五穀豊穣や無病息災を祈ります。
そして、これら正統なノロは歴代、地域誌(歴史)に名前が残されているので確認が出来ます。

つまりユタとノロの違いは、ユタは民間的で在るのに対し、ノロは公人の要素が色濃い、という風にお考えいただければと思います。
またノロは血統にのっとった「世襲制」であるということも知っておくとよいでしょう。

ユタよりノロが優れているとか、そういうことではなく立ち位置が違う、とご理解ください。

おまけ

ノロが琉球王朝、聞得大君(きこえおおきみ。役職名)によって各字に配置される前、王朝統一前から里に按司として根差した一族を「根神(ニーガン)」「根人(二ーチュ)」と読んだりします。
またその根人一族からノロに任命されることもあったようです。
地域によってニュアンスが異なりますが、おおよそこのような感じです。

では神んちゅ、というのはどういった霊能者に対しての呼称か

私はどちらかというとこの立場になります。
ユタとノロと同様に霊能力がありながらも、立ち位置はかなり異なります。

例えば、御嶽や拝所に参拝に来るユタやノロは神々にとってゲストです。
神んちゅはゲストを迎える立場とイメージしてください。
ホストやガイドにも似ているかもしれません。

審神者(さにわ)として参拝に来るユタやノロのセジ(霊感、守護霊など)を見極めたり、古代は守や雑役なども行っていた歴史があります。
表の仕事より裏(秘密裏)を取り仕切っていることも多く、役割も多岐にわたるのが特徴です。

私の先祖をもっと遡ると、古琉球の按司と呼ばれる権力者の墓守をしていた背景があります。
按司の墓は後に御嶽になることが多いので、結果的に現代の私に「守」(宮古島ではサスといいます)のセジも引き継がれています。

私の元に来る近隣自治体の依頼は、神事が始まる旧暦の3月3日と、1年の神事が終わる冬至頃の年2回でした。
私のセッションを受けたことのある方は、もうなんとなくお気づきだと思うのですが、お客様にユタやノロの子孫、ヒーラーが多いのはこのためです。
そして、サイキック誘導(沖縄の方言ではチヂアキ)ができるのもこのお役目ゆえなのです。
一方で口寄せを得意としません。

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久遠迪知

久遠迪知

スピリチュアルアウェイクナー/WEBライター/ココナラチャット占い「プラチナランク」(2024年7月1日現在)。水面下で沖縄のスピリチュアル界をけん引してきた人物。全国で出張セッションを展開しながら、27年のリーディング実績を持つ。2015年より惜しまれながら段階的に休業に入る。ステージⅣのがん治療を乗り越え、2021年12月ココナラチャット占いで復活を果たした。私生活は気ままなノマドライフ/マルチハビテーション(3拠点生活)。まさに“閑雲野鶴”の通り沖縄ライフを楽しんでいる。(文・よのしなが@)