【回想】巫女袴の謎~出雲の旅②~

【回想】巫女袴の謎~出雲の旅②~

セッションからの白い石像から1つのワードが飛び出す。
「糸姫」(糸-姫、伊都-比瑪)。
このタイミングで、ビジョンの当事者であるお客様は「糸魚川・姫川」のヒスイ、海岸を訪れていた。
糸魚川市(いといがわし)で産出されるヒスイは国内随一。世界最古のヒスイ文化発祥の地でもある。
沖縄で発掘される古琉球時代の“勾玉”(まがだま)もここから輸入されたものではないだろうか。
スピリチュアリスト(特にユタと呼ばれる方々)なら”まがだま”に一喜一憂しそうなものだが、私には鉱物としてのヒスイ以外に興味はなかった。
しかし、私の思惑とは裏腹にどうやらヒスイの物語は始まっていたらしい。。。

背中を霊にどつかれる

江島大橋で手痛い歓迎(自然現象とは言い難い)を受けながらなんとか美保神社に到着。
先ほどの天候は一体何だったんだと思うような、静かな海岸沿いを行く。
海はとても静かで波一つない。

美保神社に到着した私たちは、一先ず休憩しようと鳥居をくぐる前に近所の土産屋でイカ焼きを食べた。
思えば今朝から食事らしい食事を口にしていない。時間は既に午後二時を過ぎていた。
のんびりと、イカ焼きと熱いお茶をいただきながら、先ほどの雷雨について話していた。

マム先生
ー怖かったけど楽しかったですね~

久遠
ー出雲って書くぐらいだからそんなもんなのかな、と思い直しましたがもう二度とごめんです。苦笑

マム先生
ーところでここ美保さんですが・・・

何かを話し始めた彼女の言葉を遮るように、土産屋さんが今日は早く閉めるというので、先に買い物を済ませることにした。
時は11月。薄手のシャツにジャケットを羽織る程度でよい季節。
気温も20℃くらいでそう寒くはなかったが、突然に悪寒がしだした。
「やっぱり沖縄の人はこれくらいでも寒いもんですか?」と談笑を交わしながら、私たちは土産屋を後にし境内へ向かった。
一の鳥居をくぐった瞬間、心臓をギューッとつかまれるような痛みに襲われた。だんだん酷くなる。
胸の痛みを訴えて、石段に座りこもうとした時、マム先生の方を見ると「え?」という顔でこちらをみている。
吐く息が白くなり始めていたのだ。
(某有名なハリウッド映画にあるあのシーンを思い出してほしい)
私の額に汗がにじみ始める。息がしにくい。まずい。沖縄に残してきた家族を思いだした。

ドンッ

突然背中を誰かに蹴られたような感じがした。
けつまずきそうになりながら後ろを振り向くと、赤い袴のようなものを履いた“何かが”スッと横切り林の中に消えていったのを見た。

(・・・巫女?)

そう直観した。同時にスーッと胸の痛みが消え、体温が戻り先ほどまでの寒さが嘘のようだ。
一体何だ?と林の方を見ていると、社殿の方から祝詞のような神楽のような音が聴こえてきた。

マム先生
ーあ!そうだった!久遠さん、急ぎましょう。

守る者か憑く者か

何が起きたのか解せないまま、マム先生に従う。

ーマム先生
もうすぐ夕刻の巫女舞が始まります。忘れていたけれどラッキーでした。

どうやらここ美保神社では、365日欠かすことなく朝夕二回、神に捧げる舞が行われているという。
そんなこと調べて来いよ、とこれを読んでいる方は思われたかもしれないが、当時はサクサク検索できるようなネット環境ではなかった。
調べものをするとなるとまずパソコンのある環境でなければなかったし、じゃあ調べて情報がそろっているか、となるとそうでもなかった。そんな時代だ。

(巫女さんって神社にいるあの白装束と赤い袴の女の子たち?)

その程度の申し訳ない知識で、社殿に向かった。
参拝を済ませるとすぐに厳かに舞が始まった。
舞に合わせるようにシトシト雨が降り出し、靄もかかり始める。
なんとも幻想的な雰囲気だった。

その舞を見ながら、先ほど林に消えていった巫女のような後ろ姿を思い出さしていた。
単純な死霊などではない。だからといって神などという存在でもない。
その境のような雰囲気のあるもの・・・
そこまで考えてぞくっとした。

(・・・・間(魔))

私が出雲入りしたのは前日の夜。
泊った宿が駅近くで、安かったのは良いがいわゆる“出る”部屋で、すぐに気づいたがまぁいいやとそのまま寝ることに。
この部屋にいた霊はあまりに幽霊らしいというか、心霊写真に写りこみそうな状態の霊だったのでここに書くのは控える。
この職にある者としてなんだか気恥ずかしい。
当然、寝れなかったわけだが、ワクワクの方がまさりそのまま朝を迎える。

体調の変化もなかったのでこの宿で憑依を受けたとも考えにくい。
では、その前に訪れた大山か。
う~ん。
巫女霊の正体について考えられるパターンがいくつかある。

  • 憑依
    道中のどこかで憑いてきた。或いは神社の駐車場で憑依しかかっていた。
    私の指導霊や守護霊が働き追い出してくれた。
  • 守護
    何かに憑依しかかったところを助けてくれた。
    できればそうであってほしいが。

この頃はまだ神霊界の研究にとりかかったばかりで、自身の背景の細かいところまでは知らずにいた。
いずれにしても有難いことだが、もし後者ならこのまま感謝を申し上げて終わればいい、そう思っていた。しかし・・・

モヤッとしたままこの旅は京都へと舞台を移すことになる。

続く

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久遠迪知

久遠迪知

スピリチュアルアウェイクナー/WEBライター/ココナラチャット占い「プラチナランク」(2024年7月1日現在)。水面下で沖縄のスピリチュアル界をけん引してきた人物。全国で出張セッションを展開しながら、27年のリーディング実績を持つ。2015年より惜しまれながら段階的に休業に入る。ステージⅣのがん治療を乗り越え、2021年12月ココナラチャット占いで復活を果たした。私生活は気ままなノマドライフ/マルチハビテーション(3拠点生活)。まさに“閑雲野鶴”の通り沖縄ライフを楽しんでいる。(文・よのしなが@)