オカルトライター心霊百物語Vol.2|断捨離、リサイクルやメルカリを利用する前に一旦考えてみようか。

オカルトライター心霊百物語Vol.2|断捨離、リサイクルやメルカリを利用する前に一旦考えてみようか。

 コロナ禍の中で、特に経済をベースにこれからの人生を考え直さなくてはならなくなった、という人は少なくないはずだ。
 その中で、これまでの暮らしの在り方を見つめなおし、必要なものとそうでないものの仕分けを余儀なくされた人は多いのではないだろうか。
 筆者もその一人。加えて闘病という機会を得て改めて断捨離について考えてみる。

着物やブランド品はただ売ればいいってもんじゃないよね?

 
よのしなが@
ビジネスの発想としては素敵なんだけど、着物って故人の思い入れが深いものでしょ?
こうした記事を読むと、どういった経緯で自分の元に来た着物なのか、気になるんだよなぁ。
 
久遠迪知
そうだね。
きちんとご供養されてリサイクルに出されている商品なのか、霊能を生業としている私としては注意したいところだね。
 
よのしなが@
着物だけじゃなくて、価値を失わないブランド品などもそう。
欲しくなっちゃうし、買えない金額でもないんだけど色々考えてしまう。
 
久遠迪知
じゃあ、今回は、意識づけに私の小話をしてみようかな?
ちょっと路線はズレるかもしれないけど。
久遠師匠の小話とか、なんだか空恐ろしいけど同時に面白そうなので、書き手としてはワクワクしちゃうよね?|д゚)‼
ということで、ホラー強めなので、苦手な方はそっとページを閉じていただければと。
では、参ります!

古橋のそばに立つアパート。

成人式に着る着物を選びに来ている。
着物販売をしている叔母の誘いだ。
金額もピンキリで、安い物でも80万はくだらない。
帯や草履も合わせると、ゆうに100万は超える。

久遠「おばさん。とてもじゃないけどこんなに高くちゃ、私の収入じゃローンも組めないよ。」

そういって、あきらて帰ろうとした時、

叔母「あまり進めたくはないけど、奥に下取りして綺麗にお直した着物があるから、それ見てみる?」

まぁ、叔母も売上が成績につながるだろうし、高い品を売りたい気持ちはわかるが、如何せん。先立つものが。
式で着るだけの着物にそんなに予算はかけられない。
お古でも何でも安くて綺麗であれば。

叔母「これなんかどう?あなたに似合うと思うけど。」

そう言って、叔母が奥から出してきた着物は、古着とは思えないほど見事な紫色の着物だ。
目立つ柄や模様などはなく、控えめに袖に小さなボタンの花が刺繍されている程度。
シンプルで好みだ。
即答で購入を決める。

叔母「特別に安く譲るんだから内緒よ?」

そういって、いそいそと表の接客へと戻っていった。

夜風にたなびく紫の着物

無事成人式も終わり、有り金をはたいて購入した美しい着物は、既にぞんざいな扱われよう。
壁の衣紋掛け(えもんかけ)に適当に下げられたままになっている。

(片付けなくちゃな)

そう思いながらも季節は過ぎ、既に初夏を迎えていた。
ある晩、同居人の帰りを待ちながらソファで転寝(うたたね)をしていた。
先に休みたかったのだが、同居人が部屋のカギを忘れて出かけてしまっていたのだ。

バタン

勢いよく玄関のドアが開く音がした。

(あれ?カギ開けたままにしてたっけかな?)

いつの間にか寝てしまっていたらしい。
時計に目をやると午前2時を過ぎている。
それにしても、酔っているのだろうか。
ドアは開かれたまま一向に入ってくる様子がない。
玄関で寝られては困る。
そう思って身体を起こそうとした瞬間、人影が物凄い勢いで私に向かってくる。

(え?)

起きる間もなく、その影は私を飛び越えて、入り口とは反対側にあるベランダへ過ぎていった。
長い髪の女だ。
そして、その女の後を追うように、ひらりと紫色の着物が落ちていくのが見えた。
着物をかけていたはずの壁を見る。
そこにはいつもと変りなく、紫の着物が夜風に揺れていた。

空中を移動する祠

同居人は結局まだ帰っていない。
日曜の朝。
飲み歩いて友人の家にでも泊っているのだろう。
あのおかしな出来事の後、いつの間にか寝てしまったようだ。

(あ。玄関が開いたままじゃ。)

慌てて確認しに行ったが、ドアはしっかり閉まっていた。
なんなら、カギもしっかりかかっている。
一体、昨夜の出来事はなんだったのか。
夢なのか?(夢であってほしい)
心のどこかで霊の仕業ではないかとも思ってはいるが、今はまだそうした事柄に取り合いたくはない。
そんなことを考えながら、ぼんやりと再びソファに座り込んだ。

(ん?え?なに?)

目の前の窓にみえる光景に目を疑った。
祠がユラユラと宙に浮いている。
何事かと窓辺に駆け寄ると、クレーンで吊られた祠がゆっくり、建物の横を通りベランダ下にある駐車場へと運ばれていた。

「久遠さ~ん。」

呆気に取られていると、その駐車場から呼ぶ声がした。
ベランダから下を見ると大家さんの姿が。

大家「日曜の朝からごめんなさいね。
となりの橋の取り壊しが決まって、一時的にうちの敷地で祠をお預かりすることになったの。」

周囲の工事車両がうるさくてよく聞き取れない。
詳しい話を聞くために、一旦下りることに。

人柱になった巫女の話

大家さんの話によれば、その昔、度重なる川の氾濫で流される橋に心を痛め、霊能力に優れた巫女自ら人柱に申し出たのだそう。

大家「この祠は、その巫女さんをお祀りしているものなのよ。」

持っていた資料館のパンフレットを見せてくれた。
そこに描かれた絵には、紫色の衣を羽織り、気品高く長い髪を虹色の紐で束ねた若い巫女の姿があった。
昨夜のあの人影は、この高貴な紫色の着物に魅せられた巫女の霊だったのか。
この魅惑的なオーラを放つ着物が彼女を引き寄せたのか。
いずれにしても、空中を移動した祠と無関係とは思えない。
虫干しのために、この時の紫色の着物を箪笥から取り出す度、この日の出来事が思い出される。

古い着物やブランド品はきちんとご供養をしてから出品しよう。

久遠師匠の小話はいささか不気味過ぎるが、何が言いたいかというと、古い着物やブランド品は思いがこもりやすい、ということだ。
念がこもりやすいのは人形だけではない。
あなたがなんとなく手放したその着物やブランド品には、あなたの思い入れが詰まっている。
同様に遺品には故人の思いがこもっているのだ。
そして、その思いはいつしか“なまもの”になるという。
意味は割愛するが、こうしたことを理解すれば、手放すことになった大切な服はきちんとご供養しよう。

生きてるのに供養とかおかしいって?
そんなことはさておいて、難しいことではない。
天日干しにした後、香りのいい香を焚き、その煙でいぶすだけだ。
そして、クリーニング店で整えてから出品する。
買う側でも使用する前に香でいぶすと危険な思念にやられなくて済むかもしれない。

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ものかき.comの編集室から。 部員は2名。室長兼ライターの久遠迪知とノマド民Y。常にさすらう編集室で沖縄スピリチュアルを中心に、ライフスタイルを発信中。 サイト名「閑雲野鶴ーKANUNYAKAKUー」は2名の生き方にぴったりの四文字熟語からチョイス。「なにものにも束縛されない悠々自適 の境遇」を表わしている。